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BLU-SWING 3度目の台湾公演、ソールドアウトの熱狂に包まれた伝説の夜

2026.04.20

Music

曹瑋倫

曹瑋倫

オープニング曲「Find Your Way」が響き渡る中、ボーカルのYuriは満員の客席を見渡し、その伸びやかで美しい歌声には隠しきれない高揚感が滲んでいた。バンドによるタイトなキメに続き、「Syndrome」の軽快なギターラインが彩りを添える。この日のバージョンは、2019年リリースの『BLU-SWING 10th Anniversary Best』に収録された10周年記念アレンジだ。

建築物のような芸術品

彼らのライブ音楽は、例えるなら「大聖堂の建築構造」のようである。ステンドグラスのように空間に彩りを添えるアンビエントな鍵盤の響きは、キーボーディスト兼プロデューサーの中村祐介。神話の石像の輪郭や聖書の壁画のようにメインメッセージを伝えるのは、ギタリストの斉藤健介。そして、ドラムの佐々木俊之とベースの平畑徹也は、その巨大な構造を支える石造りの支柱であり、機能性の中に幾何学的な均衡美をもたらしている。その中央に鎮座する聖像こそがYuriの歌声であり、すべての要素に囲まれながら、聴く者を癒やし、心を陶冶(とうや)していく。一曲一曲がそうして組み上げられ、精巧な建築デザインが次々と目の前に現れるかのようだった。

「Wave」では、安定した低域の出力と、不意に音が引き算される緩急が交差する。Yuriはゆったりとメロディを紡ぎ、感謝の表情を浮かべながら「大家好我們是BLU-SWING(皆さんこんにちは、BLU-SWINGです!)」と挨拶した。アジアの大規模ツアーを経てきた自信からか、メンバー一人ひとりが中国語で自己紹介を行い、観客を驚かせたのはギタリストが台湾語で「逐家好(ta̍k-ke-hó / 皆さんこんにちは)!」「多謝(To-siā / ありがとう)!」と挨拶した瞬間だ。会場のボルテージは一気に最高潮へ。台湾のファンに寄り添ったこの粋な計らいは、ライブ中の特別なプレゼントとなった。

「また台北に戻ってきました! I hope you have a great time.」 YuriのMCは中国語、英語、日本語が混ざり合い、彼らが極めてインターナショナルなバンドであることを象徴していた。続いてスペシャルゲストとして、JABBERLOOP HORN、MAKOTO(Trumpet)とDAISUKE(Saxophone)が登場。圧倒的な存在感とエネルギーを放ちながら、仕立ての良いスーツとハットを身に纏った彼らは、観客と共に優雅なディナーの時間を共有した。

代表曲「Fabulous」では、トランペットのハイトーンが空を突き刺すように響き、サックスが力強く空間を切り裂く。クリスタルなギターの音色が響く即興ソロが展開されるが、それはまだ序の口だった。ホーンの斉奏から一転、静寂のなかで鍵盤が感情のピークへと駆け上がると、バンドがそれを引き継ぐ。ベーシストがステージ前方へと歩み寄り、楽器を通じて言葉以上に雄弁に語りかける。Yuriは傍らで仲間たちの「音のぶつかり合い」を笑顔で見守り、すべてが完璧であることに深く頷いた。ドラムソロが熱を帯び、最後の一打が鳴り響くと、BLU-SWING特有のジャズサウンドが再び主導権を握り、それまでの激しいインプロヴィゼーションを優しく包み込んだ。

「ひとひら」は爽やかなギターのアルペジオで幕を開け、Yuriは低音から高音までを自由自在に操る。スローなビートに揺られながら、トランペットがピアノに寄り添い主旋律を奏で、転調と共に曲が結ばれた。ドラムのカウント「1、2、3、4」が空気に溶け込み、「Starlight」がスタート。歪ませたギターとミドルテンポのディスコビートが、まるで舞踏会のような高揚感を生む。桃色の照明が音楽のアンニュイな雰囲気を増幅させ、サックスソロがその空気をよりいっそうセクシーに染め上げた。

「3度目の台湾、皆さんのサポートに感謝します……そして、愛を!」

「皆さん楽しんでいますか?」と観客に問いかけ、古くからのファンも新しいファンも等しく素晴らしい時間を過ごせるよう祈りを込める。「クラゲ」のブレイクビーツのグルーヴは白い光に包まれ、まるで早朝5時の魔法のような瞬間を演出した。空を指さす仕草はスローモーションのように美しくロマンチックだ。 続く「満ちていく体温」では、白いセットアップに身を包んだYuriが青い水光に照らされ、太陽がゆっくりと昇っていく情景が浮かぶ。16分音符のファンキーなカッティングがビッグバンド・ジャズの香りを漂わせ、瞬時にダンスフロアの熱気へと変貌させる。ピアノが聴覚的な推進力を和らげたかと思えば、ホーン隊による鮮やかな斉奏が再び加速させる。この曲は、彼らのキレのある質感なしには成立しないだろう。ホーン隊がステージを降りる際、会場からは惜しみない拍手が送られた。 「Sum」はラテンのクラーベ・リズムを取り入れ、これまでの4つ打ちとは異なる軽やかな空気感をもたらした。Yuriが手を振り、ギターと鍵盤はよりソフトな音色へとシフトする。サンバの情熱と日本語の美しいメロディが融合し、サビの「バラババララ」という合唱が言語の壁を溶かしていく。鍵盤のハーモニーが、観客の身体を自然に揺らした。

「Flash」で本編を締めくくると、アンコールの拍手が湧き起こった。中国語に堪能なギタリストがグッズ紹介とサイン会の案内を行い、「また台湾に来たい!」と熱望した。スタッフが手渡したアナログ盤には、ボーカルのYuriが大きくプリントされており、彼女がジャケットと同じポーズをお茶目に披露すると、ファンからは黄色い悲鳴が上がった。

限定のアンコール

イントロが流れた瞬間、ファンはその旋律に気づいた。ドラムとベースが刻むクラシックなリズム。名曲「真夜中のドア〜Stay With Me」が始まると、カップルたちは寄り添い、Yuriは都会的で成熟した女性の表情で歌い上げた。冷静なギタリストまでもが陶酔した表情を見せる。最後にはホーン隊が再び合流。「古い友人同士」のようなミュージシャンたちの絆が語られ、ラストの「Sunset」へ。憂いを含んだ深い愛情に満ちたこの曲で、純白の衣装を纏ったYuriの立ち振る舞いは、どこまでも優雅でゆったりとしていた。それは激しいダンスナンバーとは対照的でありながら、互いを引き立て合う完璧な幕切れだった。

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