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小袋成彬インタビュー:ロンドンの実験の場から持ち帰った、最もピュアなサウンド。宇多田ヒカルのコラボ相手にとどまらず、「新世界」を創り出す人物。

2026.01.22

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Billboard Live TAIPEI

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「初めて聴いたとき、心の中で『ちょっと待って、これは何だ?』と思った」

これは、多くの音楽ファンが小袋成彬に初めて出会ったときに抱く率直な感想だ。宇多田ヒカルに見出された才能として知られる彼は、かつては“普通の会社員”になるつもりだった。しかし偶然が重なり、気づけば音楽の道へ。デビュー後に注目と成功を手にしてもなお、商業的な方程式に安住せず、ロンドンの音楽シーンへと身を投じた。小袋にとって音楽とは、音で綴る自伝なのである。

そして2025年、彼はさらに驚くべき一歩を踏み出した。故郷・さいたま市の市長選に立候補したのだ。結果は惜しくも落選。しかし、その経験は彼の社会を読み解く“解像度”を大きく引き上げたという。小袋は感慨深く語る。「この経験で、世界がどれだけ複雑かを理解できた。そして文化を守るという意思が、より強くなったんです」

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今回、Billboard Live TAIPEIでの公演を控える小袋成彬に、Billboardが独占インタビューを実施。「データはいつか消えるかもしれない。でも“実体”が残っている限り、レコードは生き続ける」と彼は言う。

独立後の新作『ZATTO』を携えて帰ってきた小袋。タイトルの「ざっと/雑踏」は、街の喧騒や入り乱れる人々の気配を指す。都市が持つランダムさと生活感に満ちた混沌を、ロンドンで吸収したジャズやレゲエ、そして自身の日本語の詩情と織り交ぜながら、「後世に残る究極のヴァイナル」を目指して作り上げた一枚だという。

1. まずは台北での初公演、おめでとうございます。これまで他の地域のBillboard Liveで演奏したことはありますか? Billboard Live TAIPEIの“初開封”で緊張はありますか?

小袋:ありがとうございます。Billboard Live東京には何度も行ったことがあります(遊びに行ったり、ライブを観たり)が、ステージに立って演奏するのは今回が初めてです。ただ、僕はステージに上がるとき、これまで一度も緊張したことがないんです。

2. 宇多田ヒカルとの共作をきっかけに一気に注目を集めたあなたが、新作を携えてBillboard Live TAIPEIに登場します。今回のステージについて、先に少しだけ教えてください。台北ならではの特別な内容はありますか?

小袋:イギリスに住んだ6年間で、アジア圏では体験できない多様な音楽文化に触れました。華やかなカーニバル、巨大なサウンドシステム、神秘性を帯びた深夜のレイヴ、そして小さなジャズクラブまで——そうした個人的体験が、僕の身体に根深くある日本の伝統と結びついて、『Zatto』というアルバムが完成しました。今回の公演では、いかなるプリレコーディング音源や過剰な演出も使わず、身体から発する音だけでライブを成立させる予定です。

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3. デビュー直後から大きな注目を浴び、いわば「デビュー即ピーク」とも言える状況でした。ですがあなたは成功に留まらず、ロンドンへ移住し、より澄んだ視線で音楽と向き合う道を選びました。なぜロンドンだったのでしょう?

小袋:僕にとって「成功」は、売上やSNSのフォロワー数で決まるものではありません。健全で創造的な環境に身を置き、芸術をつくり続けられること。それが成功です。そのためには人格の成長が必要で、ときには自分の手で現状を壊さなければならないこともある。ロンドンは音楽史が深く、世界の音楽の博覧会でもあり、実験場でもある。あの環境に飛び込むことが、僕の定義する「成功」に近づく道だと感じました。

4. アジア圏ではない都市で音楽活動を続けるなかで、異文化が創作や音楽に与える影響をどう捉えていますか? 特に助けになった考え方はありますか?

小袋:もし僕のパートナーがサルサを踊っていなかったら、〈Kagero〉は書けなかったかもしれない。もしMad Professorとツアーをしていなかったら、〈Shiranami〉は書けなかったかもしれない。異なる文化や価値観は、いつも僕の創造力を刺激してくれます。「誰も見たことのない新しい世界を創る」ことに喜びを感じる。それがアーティストの職責だと思っています。

5. 台湾は今回が初めてとのことですが、これまで台湾の音楽や映画に触れたことはありますか? 好きなアーティストはいますか?

小袋:deca joinsの〈浴室〉と、skip skip ben benの〈無限大〉はプレイリストに入っていますし、定期的に聴き返しています。特に去年リリースされたCOLD DEWのアルバム『六神無主』は、最近のいちばんのお気に入りです。

6. 新年が始まったばかりですが、今年ご自身に掲げている目標はありますか?

小袋:今年はたくさん音楽作品を発表したいです。


2月7日、彼は会場を“音の実験室”へと変え、深く純粋なサウンドの系譜をともに掘り起こすよう私たちを招く。

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