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彷徨える魂を癒やし、今この瞬間の静寂を分かち合う —— ZIN x DEW 汪定中

2026.01.17

Music

曹瑋倫

曹瑋倫

ZINはかつてのインタビューで、少年時代に兄たちの影響でレゲエ(Reggae / Dub Reggae / Reggaeton)やブラックミュージックに触れたことが、自身の音楽的ルーツを形作ったと語っている。その後、UsherやCraig David、Ne-YoといったR&Bシンガーに心惹かれ、2013年から2016年にかけてのニューヨーク留学を経て、現在のアーティスト「ZIN」へと脱皮を遂げた。

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ニューヨークでの日々は、彼に自己表現への恐れを捨てさせ、アイデンティティを堂々と示す精神を授けた。それは内向的とされる日本社会の気質とは対照的なエネルギーであり、彼の音楽に消えない足跡を残している。ライブでは、自由にしなやかに動く身体、そして中性的で透き通るようなハイトーンボイスが印象的だ。感情、人間関係、そして信頼を綴る彼の歌詞は、繊細でありながらも、極めてパーソナルで恐れを知らない表現者としての姿を映し出している。

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オープニングを飾った「Midnight Run」(2023年のアルバム『Curve』収録)では、ディープブルーの照明が会場の熱気を落ち着かせ、恋愛映画の深夜シーンのような、禁断さと反逆、そして温かな抱擁が入り混じる世界を描き出した。同アルバムの「Complex」は、Sam SmithやFrank Oceanを彷彿とさせる、現代ヒップホップとソウルが交差するアイデンティティの宣言である。

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「日本以外でのライブは今回が初めてです。皆さんが僕の最初の台湾の友人です!」

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2025年にEP『JOJO』をリリース後、日本各地のBillboard Liveを巡ったZIN。彼はレコード会社などには所属せず、インディペンデントな活動を貫くことで、独自の緊密なコミュニティを築き上げてきた。サポートメンバーもまた、日本の音楽シーンの第一線で活躍する面々だ。

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ベースのKeity(Michael Kanekoらとのバンド「Brkfstblend」でも活動)は、来月2月24日の春野(HARUNO)台北公演でもサポートを務める予定だ。彼の温かくエネルギーに満ちた低音は、ZINの魅力を引き立て、まるでPino PalladinoとJames Jamersonが出会ったかのような、艶やかなスライドと粒立ちの良い8分音符を響かせる。

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ドラムのTaiheiは、ZINのステージには欠かせない存在だ。彼のグルーヴ感と音色へのこだわりは極めて細やかで、Steve GaddやBernard Purdieを彷彿とさせる、キレのあるしなやかなスウィング感を見せつける。

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ギターのTakuma Asadaは、現代的かつ理性的なアプローチが特徴。リズム隊のヴィンテージなグルーヴに対し、彼のプレイが化学反応を起こすことで、ZINの温かなメロディに多様な表情を与えていた。

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「相愛」では、モータウン風のベースラインがKeityの個性を際立たせ、70年代後半のハウスやディスコの熱気を感じさせた。「綻び」では、Taiheiがキーボードで薪が燃える音や日常の環境音をサンプリングし、Takuma Asadaがシンセサイザーの音をギターで再構築。空間を映画のような情緒で満たした。

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MCでZINは語った。「10代から歌い始めて、今は大人になりました。世界は今、戦争や衝突で混乱していますが、日本語がわからなくても大丈夫。音楽を聴いている時、僕たちは一つになれる。音楽は言葉を超え、今の静寂を感じさせてくれる。次の曲は『親友』についての曲です —— Buddies!」

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一方、台湾のDEW 汪定中。YouTubeでのカバー動画で数百万回再生を記録し、現在はシンガーソングライターとして「禾火OUT」や「大港開唱(Megaport Festival)」など、数々のフェスを席巻している。Instagramでのライブセッション配信など、デジタルとリアルを縦横無尽に行き来する音楽家だ。

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今回のサポートメンバー、コーラス&ギターのJaywuとベースの蘇恩加は長年のパートナーであり、ドラムの小白(鄭宜農、someshiit 山姆などのサポートで知られる)と共に、盤石の布陣で臨んだ。

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DEWの音楽は、C-POP(華流)と洋楽のクロスオーバーだ。「747」や「Wake Up」にはAORやネオソウル、ベッドルーム・ポップの香りが漂う一方で、90年代のジェイ・チョウ(周杰倫)やデヴィッド・タオ(陶喆)が切り拓いた「中国語によるR&B」の系譜を感じさせる。グローバルな美意識と、中国語ポップスの伝統を巧みに融合させているのだ。

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最新曲「飛行的姿態」では、Harry StylesやJohn Mayer、あるいはMac Millerのような現代ポップスの質感を持ちつつ、制作スタイルはMen I TrustやTom Mischを思わせるLo-fiな感性に満ちていた。ライブ中には、2026年に単独公演を開催し、アルバムも最終段階にあることを明かした。

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全く異なるスタイルの二組だが、根底にあるエネルギーは共鳴している。西洋音楽を吸収し、自らの母国語で応答する。これこそが、アジア音楽が今見せている、最も輝かしい現代の姿である。

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