

デビューから頂点を証明した実力
BLU-SWINGの核となる存在は、プロデューサー兼キーボーディストの中村祐介(Yusuke Nakamura)。バンドとして正式に結成される以前から、メンバーたちはすでに電子音楽シーンの裏方として活躍してきたベテランであり、彼らの血にはClub Musicが流れている。彼らの真骨頂は、日本的な職人のディテールへの徹底したこだわりを、「ロマン」という名の中に完璧に埋め込んでいるところにある。
2008年、デビューアルバム『Revision』はリリース直後から大胆なアプローチを見せ、日本のiTunesジャズチャートで1位を獲得し、数週間にわたり首位をキープするという記録を打ち立てた。ジャズ、エレクトロニック、ポップスを違和感なく融合させるのは容易ではないが、BLU-SWINGのやり方は非常に直感的でありながら骨太だ。
このアルバムがクラシックとなった理由は、おそらく「ジャズの敷居の高さ」を打ち壊した点にあるのだろう。代表曲「満ちていく体温」では、中村祐介のトレードマークであるRhodesの音色と、ボーカル田中裕梨(Yuri Tanaka)の透明感あふれる歌声が重なり、「音楽でほろ酔いになる」とはどういうことかを体現している。聴いているうちに頬がほんのり赤くなり、世界が少し軽やかに見えてくるようだ。
BLU-SWINGの職人精神
現代音楽ではサンプリングに頼る制作が一般的だが、アルバム『Transit』ではデジタル合成を大幅に減らし、ピアノやオーケストラ編成を実際に録音する手法を採用している。こうした細部へのこだわりこそが、彼らのクラフトマンシップを証明している。
BLU-SWINGの音楽をじっくり分析すると、心地よいサウンドの裏側には非常に複雑な構成が潜んでいることに気づく。口ずさみやすさという点では難しさもあるが、その分リスニング耐久性は格段に高い。高度なテクニックが、こんなにも親しみやすく響くのだ。
ぜひアルバム『FLASH』を聴いてみてほしい。ビジュアルは控えめながら、音楽は非常に奥深く、時間が経っても色褪せない魅力を持っている。彼らの音楽は決してBGMではなく、平凡な日常に映画のような質感を与えてくれる。
蛋堡『月光』を支えた存在
多くのリスナーにとって、BLU-SWINGを知る大きなきっかけとなったのは、2010年に蛋堡(Soft Lipa)が日本で制作した名盤『月光』だろう。一般的にはJABBERLOOPとのコラボが知られているが、実はBLU-SWINGも非常に重要なRemixで関わっている。
代表的なのが「経典!」(BLU-SWING Remix)。
彼らは原曲の硬質なヒップホップを、ややAcid Jazz寄りのサウンドへと再構築し、ラップをより柔らかく、しなやかな質感へと変化させた。このアルバムは最終的に金曲奨にもノミネートされ、中華圏の音楽シーンにおいて名作としての地位を確立した。
田中裕梨が牽引するCity Popの波
田中裕梨の歌声は、まるで冷蔵庫から取り出したばかりの炭酸水のような透明感を持つ。自然体でありながらどこか色気を含み、肌の上をすっとなぞるような、爽やかで少しだけくすぐったい感覚を与えてくれる。
近年、City Popが世界的に再評価される中で、彼女の声はその象徴的存在となっている。2016年以降にリリースされたカバーシリーズ『City Lights』では、BLU-SWINGのメンバー全員がアレンジを担当。竹内まりやや大貫妙子といった80年代の名曲を、現代的で洗練されたグルーヴへと再構築している。
このシリーズはHMVやオンラインショップで長期間City Popのおすすめランキング上位に入り続け、多くの若いリスナーがBLU-SWINGの作品を再発見するきっかけとなった。過去の楽曲を現代的に蘇らせる技術こそ、彼らがメインストリームとアンダーグラウンドの間を自在に行き来できる理由なのだろう。
「ちょっと待って、最後まで聴かせて。」
彼らの音楽の中では、ほんの少しだけ立ち止まり、静かに耳を傾けることが求められる。
それこそが、BLU-SWINGが現代人に与えてくれる優しさなのかもしれない。
4月5日 Billboard Live TAIPEI にて
Goodnight and keep grooving!
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