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[Live Report] 艶やかな嵐のロッククイーン、相川七瀬30周年~MOONDANCE~

2026.03.13

music

曹瑋倫

曹瑋倫

相川七瀬の姿はまだ見えない。

ピアノが最初のコードを打ち鳴らす――まるで金属が打ちつけられるような鋭い音色だ。バンドが続き、すぐさまギタリストのKBがソロで勢いよく天井を突き抜けるように駆け上がる。その瞬間、すべての観客に宣言するかのようだった。これはロックのステージだ!

ヴァイオリンがまるで鷲の長い鳴き声のような音色を奏でる。

〈STILL RAIN〉のイントロが流れた瞬間、相川が登場。黄昏のような色合いのライトがステージ上のすべてのミュージシャンを照らす。この曲は2001年のアルバム『Last Quarter』収録曲であり、今回のライブではそのアレンジが完全な形で再現された。

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〈DAHLIA you’re my universe version〉では、力強いボーカルが空気を切り裂く。

Aメロはより叙情的なアレンジに変わり、相川の声色の可変性とダイナミクスを際立たせる――


誰かが目隠ししている

真実を隠して貴方が見えない


真紅の花びらのアーチの下で

心の鎖を解き放つ


夢中で辿り着いた日々


そして楽曲後半、サビでは一転してロック色の強いアレンジへ。


Oh, Dahlia inside of me


宝石のように君の中に眠ってる

人はみんな癒されたかった

子供を抱いて生きてる


こうした歌詞と、迫力あるバンド演奏。

Billboard Live TAIPEIでよく聴かれるソウルやR&Bの繊細なグルーヴとは異なり、ロックミュージシャンの精度とパワーが音の密度を高め、まるで音が空間全体を埋め尽くすかのようだ。まさに拳が直接胸に響くようなサウンドだった。

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「これから第二部に入ります。第一部がとても盛り上がったので、第二部も……。ここに来るのは二十年以上ぶりなので、その待っていてくれた気持ちも込めて、今日は少し多めに歌いたいと思います。」


「次の曲は、LUNA SEAの真矢さんに捧げたいと思います。聴いてください、〈月に捧ぐ〉!」


〈月に捧ぐ〉。

太陽のような色のライトが相川を照らし、青いスポットライトは夜の静けさを思わせる。相川の歌声からは絶対的な誠実さが伝わり、言語の壁を越えて濃密な感情が溢れ出していた。


ギターソロでは、まるで命を燃やすかのような演奏。ギタリストは髪留めが外れるのも気にせず、長い髪を振り乱しながら緊張感に満ちた音を叩きつける。赤と青のライトの中で、バンド全体がまるで猛る獣のようだった。

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ステージ左側では、ヴァイオリニスト末延麻裕子の流麗で美しい旋律。右側では、牙をむくように弾きまくるギタリストKB。その対比は、まるで追憶の情景のように美しく胸を打つ。

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真矢との絆

ロックバンドLUNA SEAのドラマー真矢(本名:山田真矢)は、2026年2月17日に逝去した。

彼はPATA(X JAPAN)、Marty Friedman(元Megadeth)、織田哲郎らとともに長年相川七瀬のバックバンドを務め、友人でもあった。その顔ぶれはまさに夢のようなメンバーであり、日本ロックファンにとっての「正統派ロックの音」を体現する存在だった。


〈Nostalgia〉はクラシックなアメリカンロックのスタイルに、アジア的な旋律美と歴史感を融合させた楽曲。ミュージシャンたちは喜びに満ちた表情を見せる。彼らは自分たちがこれほど壮大な世界を生み出していることを知っているのだろうか。相川は野性味と輝きを宿した眼差しで、その問いに答えているかのようだった。


〈China Rose〉は極東世界への想像を描いた楽曲。ロックが長年扱ってきた「東洋の神秘」「皇権と専制」というテーマに、日本語の視点から応答する。Thin Lizzyの〈Chinatown〉(1980)、Led Zeppelinの〈Kashmir〉(1975)、David Bowieの〈China Girl〉(1983)など、西洋の視点から中国を描いた作品は多い。この曲ではヴァイオリンが荒々しいロックの音色を奏で、ベースソロではどこか東洋的な“悪役”のような表情が浮かんでいた。

〈恋心〉はダンスビートを基調に、東洋的モチーフで恋の切なさを描く。相川の歌声は圧倒的な存在感を放ち、ステージ全体のリズムを支配する。バンドはその声を中心に、唯一無二のロック世界を築き上げる。ロッククイーンとなった彼女は、まさにその中心に立っていた。ドラムロールとピアノの嵐のような音が、想像力にさらなる層を与える。

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「今年の11月でデビュー30周年を迎えます!」


「この30年、いい時もあれば、波のある時期もありました。もう歌えないかもしれないと思ったこともあります……。でもそんな時、どうすればいいかを必死に考えました。音楽が好きだから、そして皆さんが支えてくれたからここまで来られました。音楽は私の人生そのものなんです。」

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相川は観客にそう語りかける。


「……人生のすべてを音楽に注いできました。だからこそ、この先の未来を作れるんだと思います。つらい時もありましたが、今この瞬間、私はとても幸せです。」


「去年はアルバムを3枚出しました。その中にラブソングが2曲あるので、ここで皆さんに届けたいと思います。」


〈クレッシェンド〉。

桃色の光の中で、ヴァイオリンが残響のように響く。相川の歌声は感情の濃淡を空気の中に描き、時には空間を切り裂き、時には一瞬で真空のような静寂を作り出す。甘い少女の声と、成熟した現在の声が行き来することで、物語は想像の余白を広げていく。


ピアノは豊かな余韻を残し、光のように空間へ散っていく。アルバム『STAR DUST』収録の〈I LOVE YOU TOO〉では、相川七瀬、ピアノの高田有紀子、ヴァイオリンの末延麻裕子の三人が静かに感情を積み重ねる。そして頂点に達した瞬間、幕が開くように明るい風景が広がる。歌のイメージのように、愛情が満ちていた。


〈明日へ〉。

繊細な対話のようなイントロから、感情は徐々にサビへと高まる。相川は観客を鼓動のリズムに導き、皆で手拍子を打つ。リズムは人間の本能から生まれると言われるが、この瞬間、会場の全員が相川バンドの一員だった。未知の未来へ向かう勇気を与え、性別や言語の境界を越えていく。


アンコールでは、相川が意味深に語る。


「横浜、大阪、東京、台北。Billboardツアー、今日はファイナルです!」


「特別なドラマーを紹介します――私の息子です!」


会場は驚きの歓声に包まれる。


「こんばんは!Rioです!よろしくお願いします!」

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Guns N’ RosesのTシャツを着たRioがバンドを指揮し、〈Sweet Emotion〉のイントロが始まる。相川はステージを降り、観客一人一人に挨拶する。Rioは全力で会場を煽り、アメリカンロックの熱狂が沸き上がる。観客は立ち上がり、手拍子し、踊り、そして涙を流す者もいた。


続くアンコール曲〈夢見る少女じゃいられない〉では、会場全体が大合唱。Billboard Live TAIPEIはまるで巨大なスタジアムライブのようだった。


それぞれのミュージシャンのソロも個性が際立つ。

ベースのSHUSEの野性、ドラムZACKの高エネルギー、ピアノのToshiの自由で正確な演奏、キーボード高田有紀子の広い音域、ヴァイオリン末延麻裕子の妖艶さ。最後はギターのKBがバンドを導き、相川との完璧な呼吸で再び会場を爆発させた。耳をつんざく歓声の中でライブは幕を閉じる。


ロックには、人間の本能の熱を煽る力がある。そのエネルギーは既存の規則や慣習を揺さぶり、変革を起こす。かつて世界の権力者が恐れたのも、まさにその原始的な力だった。人々が「不可能」と思っていたことに挑戦する力を与えるからだ。


この夜、ステージのすべての細部にロックシンガーとしての矜持が宿っていた。相川七瀬というロック精神を、観客はゆっくり味わっていた。涙を流す人もいれば、喜びと情熱に満ちた笑顔を見せる人もいる。

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美しく、そして嵐のように激しい魅力。

それこそが、相川七瀬の唯一無二のロック魂だった。

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