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[Live Report] TENDRE 演奏力が導く都市的リズム美学

2026.03.27

Music

TENDRE|ライブレポート|2026/3/15

日本のNeo-Soulシーンを代表する TENDRE が、2019年の来台以来、7年ぶりに再び台湾のステージに立った。今回の舞台は Billboard Live TAIPEI。

音楽家 河原太朗 を中心とするTENDREは、柔らかな歌声と繊細なアレンジで知られている。作品はリズムとグルーヴを起点とし、温かみのある音の質感の中で、聴き手を自然にグルーヴへと導く。

本公演は、ベースの 越智俊介、ドラムの 松浦大樹 とともにトリオ編成で行われた。ミニマルな構成の中で、音の構造と演奏者同士の関係性がより明確に浮かび上がる。

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会場に足を踏み入れると、控えめで的確な照明が夜のような落ち着いた空間を演出し、青いステージライトがシンバルに反射する。三人が登場し、河原が音響に場内BGMをそのままにするよう合図を送ると、そのまま〈Document〉のイントロへとつながり、会場は拍手と歓声に包まれた。

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続く〈Fantasy〉では、存在感のあるベースラインとキックが楽曲を推進。観客は着席しながらも自然に体を揺らす。ブレイクダウンでは空気が一度引き締まり、越智のベースソロに意識が集中する。その後、三人が再び音を重ねることでエネルギーが再構築され、楽曲は再び高みへと押し上げられた。

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中盤ではゲストの Whyte が登場し、共作曲〈Let Me Be Me〉を披露。共演ならではの空気の中、演奏者同士が笑顔を交わす。サックスの音色が空間に広がり、既存のリズムに対して新たなレイヤーを形成し、Whyteのボーカルが音の厚みを加える。編成はより開かれた構造となり、楽器とボーカルの関係性が立体的に浮かび上がった。

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〈Hanashi〉のライブバージョンは、音源よりも軽やかで躍動感がある。内省的でレイドバックしたグルーヴの中、ベースとドラムが緩やかで安定した推進力を生み出す。拡張和音の使用により音の輪郭は柔らかく広がり、アメリカのゴスペルを思わせる質感を帯びる。観客も手拍子で応えた。

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終盤、アンコール〈Give〉では音数が削ぎ落とされ、ボーカルとピアノのみが残る。温かな照明の中、河原は目を閉じて歌う。

見えないすべてが

一生の痕跡となり

その声のすべてが

今を生きる証となる

音を存在の証と捉える彼の言葉は、目に見えない感情を時間に刻まれる痕跡へと変換し、締めくくりとしてふさわしい余韻を残した。

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MCでは「マジヤベェ」「よしなに」というお気に入りの言葉を紹介し、その飄々とした人柄を覗かせた。松浦は覚えたての中国語「六六六」を披露し、会場の笑いを誘った。また河原は今後、大港開唱への出演を願う場面もあった。

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フード&ドリンクでは、限定カクテル「SIGN」をオーダー。リンゴの香りを伴う爽やかな酸味から始まり、白ワインの渋みとウイスキーの厚みが中盤を支え、最後は炭酸で締めくくられる。その味わいはこの日の音楽の空気と呼応し、体験をより多層的なものへと広げていた。

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ライブは終始続く拍手と歓声の中で幕を閉じた。トリオ編成によって、演奏を軸とした音楽言語が際立ち、音の構造とリズムの関係性が舞台の主軸として機能していた。音楽だけでなく、河原の繊細な歌声と歌詞表現は余韻を長く残し、今後の台湾公演への期待をより確かなものとした。

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